「BtoBマーケティングを始めたいが、何から手をつければよいかわからない」「SEOや広告、ウェビナーなど、どの施策を選ぶべきか迷っている」という担当者は少なくありません。
BtoBマーケティングでは、施策を実施する前に、自社の課題や目的、ターゲット企業、意思決定に関わる人物を整理することが重要です。目的が曖昧なまま広告やコンテンツ制作を始めると、アクセス数やリード数は増えても、商談や受注につながらない可能性があります。
また、BtoBでは検討期間が長く、複数の担当者や決裁者が意思決定に関わることが一般的です。そのため、認知獲得からリード獲得、育成、商談、受注までを一貫して設計し、マーケティング部門と営業部門が連携して取り組む必要があります。
本記事では、BtoBマーケティングの始め方を7つのステップに分けて解説します。施策を始める前に押さえたい考え方、代表的な施策、必要な費用、成果につなげるための注意点も紹介するため、自社に合った進め方を検討する際の参考にしてください。
▶BtoBマーケティングの始め方【7ステップ】を先に確認する
Contents
BtoBマーケティングとは?

BtoBマーケティングとは、企業を対象に商品やサービスを販売するためのマーケティング活動の総称です。広告やSEO、展示会、ホワイトペーパー、メール配信などを通じて見込み顧客との接点をつくり、商談や受注へつなげていきます。
一般消費者を対象とするBtoCマーケティングとは異なり、BtoBでは導入金額が高額になりやすく、担当者だけで購入を決められないケースも少なくありません。現場担当者、部門責任者、経理部門、経営層など、複数の関係者が検討に参加するため、問い合わせから契約まで数か月以上かかることもあります。
そのため、広告やSEOなどの施策を単発で実施するだけでは、十分な成果につながりにくい傾向があります。認知の獲得から見込み顧客の情報収集、関係構築、商談化、受注までを一連の流れとして設計することが重要です。
ここでは、BtoBマーケティングの目的と役割、BtoCマーケティングとの違い、営業活動との関係について解説します。
BtoBマーケティングの目的と役割
BtoBマーケティングの主な目的は、自社の商品やサービスを必要とする企業に存在を知ってもらい、将来の顧客となる見込み顧客を獲得し、商談につなげることです。
具体的には、次のような役割があります。
- 商品やサービスの認知を広げる
- 見込み顧客の情報を獲得する
- 継続的な情報提供によって関心を高める
- 導入意向が高まった見込み顧客を営業部門へ引き渡す
- 既存顧客との関係を維持し、追加契約や継続利用につなげる
たとえば、法人向けの勤怠管理システムを販売する企業が、いきなり商談を申し込んでもらうことだけを目指すと、まだ導入を検討していない企業とは接点を持てません。そこで、「勤怠管理を効率化する方法」や「法改正に対応する際の注意点」などを解説した記事や資料を提供し、情報収集段階の企業とも関係を築いていきます。
BtoBでは、商品を知った直後に契約へ進むケースばかりではありません。まず課題を認識し、解決方法を調べ、複数のサービスを比較したうえで、社内稟議や予算確保を経て導入を決定します。
そのため、BtoBマーケティングには短期的な売上をつくるだけでなく、すぐには購入しない見込み顧客を育成する役割もあります。定期的なメール配信やセミナー、導入事例の提供などを通じて接点を保ち、顧客の検討段階が進んだタイミングで商談へつなげることが重要です。
BtoCマーケティングとの違い
BtoBマーケティングとBtoCマーケティングの大きな違いは、購入までの意思決定の進み方にあります。
主な違いは次のとおりです。
| 比較項目 | BtoBマーケティング | BtoCマーケティング |
|---|---|---|
| 主な顧客 | 企業や団体 | 一般消費者 |
| 意思決定者 | 複数人になることが多い | 購入者本人が中心 |
| 検討期間 | 長くなりやすい | 比較的短い |
| 購入判断 | 費用対効果や業務改善効果を重視 | 価格、好み、感情なども影響 |
| 主な情報提供 | 導入事例、機能比較、費用対効果など | 商品の魅力、口コミ、キャンペーンなど |
| 顧客との関係 | 継続的な関係構築が重要 | 短期間で購入に至る場合も多い |
BtoCでは、商品を使用する本人が価格やデザイン、口コミなどを確認し、その場で購入を決めることもあります。一方、BtoBでは商品を利用する担当者と、契約を承認する責任者が異なるケースが一般的です。
たとえば、企業が業務用の会計システムを導入する場合、経理担当者が操作性を確認し、情報システム部門がセキュリティを審査し、管理職や経営層が費用対効果を判断することがあります。複数の部署や担当者がそれぞれ異なる観点から検討するため、意思決定までに時間がかかります。
BtoBでは、一度の広告接触だけで購入を促すのではなく、顧客の検討状況に合わせて情報を提供する必要があります。情報収集段階には基礎知識を解説する記事、比較段階には料金表や導入事例、具体的な検討段階には個別相談やデモを案内するなど、段階ごとに適切な情報を届けることが成果につながります。
営業活動との違いと連携の重要性
BtoBマーケティングと営業活動は、どちらも売上の獲得を目指す活動ですが、担当する役割が異なります。
マーケティング部門は広告やコンテンツ、展示会などを通じて見込み顧客を獲得し、継続的な情報提供によって関心を高めます。一方、営業部門は見込み顧客の課題や要望を聞き取り、具体的な提案や見積もりを行って受注へつなげます。
たとえば、マーケティング部門がWebサイトから資料請求を獲得しても、すべての顧客がすぐに導入を検討しているとは限りません。情報収集が目的の顧客へすぐに営業電話をかけると、負担に感じられる可能性があります。
反対に、料金や導入時期を具体的に確認している顧客をマーケティング部門だけで対応し続けると、商談の機会を逃しかねません。顧客の検討状況を見極め、適切なタイミングで営業へ引き渡す仕組みが必要です。
両部門が連携する際は、次のような項目を共通化します。
- どのような企業を主な対象とするか
- どの状態の顧客を有望な見込み顧客と判断するか
- どのタイミングで営業へ引き渡すか
- 商談後の結果をどのように共有するか
- リード獲得数、商談数、受注数など、どの指標を追うか
たとえば、資料請求をしただけの顧客はマーケティング部門が継続的に育成し、料金ページの閲覧や個別相談の申込みなど、具体的な行動が見られた顧客は営業部門へ引き渡すといったルールを設定します。
マーケティング部門が獲得数だけを追い、営業部門が受注数だけを追っていると、商談につながりにくい見込み顧客が増えることがあります。顧客情報や商談結果を共有し、共通の目的とKPIに基づいて一貫したアプローチを行うことが、BtoBマーケティングの成果を高めるうえで重要です。
BtoBマーケティングを始める前に押さえたい3つの考え方

BtoBマーケティングを始める際は、目についた施策をすぐに導入するのではなく、事業全体の課題や営業とのつながりを整理することが重要です。
SEO、広告、ウェビナー、ホワイトペーパーなど、活用できる施策は数多くあります。しかし、自社の課題や顧客の検討プロセスに合っていなければ、リードを獲得できても商談や受注につながらない可能性があります。
限られた予算や人員で成果を出すには、施策を実施する目的を明確にし、受注までの流れを設計したうえで、小さく検証を始めることが大切です。ここでは、BtoBマーケティングを始める前に押さえておきたい3つの考え方を解説します。
施策ありきではなく事業・営業課題から考える
BtoBマーケティングでは、SEOや広告、ウェビナーなどの施策を選ぶ前に、自社が抱えている事業課題や営業課題を明らかにする必要があります。
たとえば、売上が伸び悩んでいる場合でも、原因は企業によって異なります。
- 自社の商品やサービスが十分に知られていない
- 問い合わせ数が少ない
- 問い合わせはあるものの、商談につながらない
- 商談数は多いが、受注率が低い
- 既存顧客の解約率が高い
- 営業担当者ごとに成果のばらつきがある
認知度が低い企業であれば、SEOや広告、展示会などによる接点の拡大が優先されます。一方、問い合わせは多いものの商談化率が低い企業では、リード獲得を増やすよりも、導入事例や比較資料を充実させたり、営業への引き渡し基準を見直したりするほうが効果的です。
たとえば、月100件の資料請求があるにもかかわらず、商談につながるのが5件だけの場合、広告費を増やして資料請求を150件にすることが最適とは限りません。資料請求後のメール配信や架電のタイミング、獲得している顧客層を見直し、商談化率を改善するほうが売上につながる可能性があります。
まずは、売上目標と現状の差を把握し、認知、リード獲得、商談化、受注、継続利用のどこに課題があるのかを整理しましょう。課題が明確になれば、優先すべき施策や予算を投じる領域を判断しやすくなります。
リード獲得だけでなく商談・受注まで設計する
BtoBマーケティングでは、問い合わせや資料請求などのリードを集めるだけでなく、その後の商談化や受注までを一貫して設計する必要があります。
リード数が増えても、営業部門が対応できなかったり、顧客の検討状況に合わないアプローチをしたりしてしまうと、売上にはつながりません。どのような経路で獲得した顧客に、どの情報を提供し、どのタイミングで営業へ引き渡すかを決めておくことが大切です。
たとえば、業務管理システムを販売する企業が、次のような流れを設計するケースが考えられます。
- ①SEO記事経由でホワイトペーパーをダウンロードしてもらう
- ②メールで導入事例や機能比較資料を案内する
- ③料金ページの閲覧やセミナー参加などの行動を確認する
- ④導入意欲が高まった顧客を営業部門へ引き渡す
- ⑤営業担当者が課題をヒアリングし、提案や見積もりを行う
資料をダウンロードしたばかりの見込み顧客は、まだ情報収集の段階にいる可能性があります。この段階で契約を前提とした営業を行うよりも、課題解決に役立つ情報を継続して提供し、検討を進めてもらうほうが有効です。
一方、料金ページを繰り返し閲覧している、導入時期に関する質問をしているなど、具体的な検討行動が見られる顧客には、早めに営業担当者が接触する必要があります。
こうした仕組みをつくるには、マーケティング部門と営業部門で次の事項を共有することが重要です。
- どのような顧客を対象とするか
- どの状態を有望なリードと判断するか
- 営業へ引き渡す条件とタイミング
- 引き渡し後の対応方法
- 商談結果や失注理由の共有方法
最終的な受注までを見据えて設計することで、リード数だけではなく、商談化率や受注率を含めて施策を評価できるようになります。
小さく始めて検証しながら取り組みを広げる
BtoBマーケティングを始める際は、最初から複数の施策を同時に展開するのではなく、優先度の高いものに絞って小さく始めることが大切です。
SEO、広告、SNS、展示会、ウェビナー、メール配信などを一度に始めると、人員や予算が分散し、どの施策が成果に影響したのか判断しにくくなります。運用負担が大きくなり、十分に改善できないまま施策が止まることも。
たとえば、法人向けのコンサルティングサービスを提供している企業が、最初に次のような取り組みから始める方法があります。
- 顧客から相談されることが多いテーマでSEO記事を3本作成する
- 記事からダウンロードできる資料を1本用意する
- 資料請求者に3通のフォローメールを配信する
- 獲得数、商談数、受注数を3か月間確認する
このように範囲を限定すれば、どのテーマの記事が読まれたか、資料をダウンロードした顧客が商談につながったか、フォローメールの内容が適切だったかを検証しやすくなります。
成果が出なかった場合も、施策自体が不適切だったのか、訴求内容や対象顧客、導線に問題があったのかを分析できます。たとえば、記事へのアクセスは多いのに資料請求が少ない場合は、資料の内容や案内方法を改善します。資料請求は多いのに商談につながらない場合は、獲得する顧客層やフォロー方法を見直しましょう。
BtoBマーケティングの始め方【7ステップ】

BtoBマーケティングを始める際は、いきなりSEOや広告などの施策を実施するのではなく、課題の整理から効果測定までを順番に設計することが重要です。
目的やターゲットが曖昧なまま施策を始めると、アクセス数やリード数が増えても、商談や受注につながらない可能性があります。また、マーケティング部門と営業部門の認識がそろっていなければ、有望な見込み顧客への対応が遅れたり、反対に検討初期の顧客へ過度な営業を行ったりすることもあります。
BtoBマーケティングは、次の7ステップで進めます。
ここからは、それぞれのステップを具体的に解説します。
自社の課題とマーケティングの目的を明確にする
最初に、自社が抱えている事業上・営業上の課題を整理します。課題が曖昧なまま施策を選ぶと、成果につながらない取り組みに予算や人員を使ってしまう可能性があるためです。
たとえば、「売上が伸びない」という課題でも、背景には次のような原因が考えられます。
- 商品やサービスの認知度が低い
- Webサイトへのアクセスが少ない
- アクセスはあるものの、問い合わせにつながらない
- リードは獲得できているが、商談化率が低い
- 商談数は十分でも、受注率が低い
- 既存顧客の解約が多い
課題を整理したら、BtoBマーケティングによって何を実現したいのかを明確にします。認知度が低い場合は「ターゲット企業との接点を増やす」、商談数が不足している場合は「有望なリードを獲得して営業へ供給する」など、課題に対応した目的を設定しましょう。
たとえば、月間商談数が20件で、目標達成に50件必要な場合は、不足する30件の商談を生み出すために必要なリード数まで逆算します。商談化率を30〜40%と仮定すると、マーケティング部門が獲得すべきリード数は月75〜100件です。
そのうえで、「6か月後までに月75〜100件の有効リードを獲得し、マーケティング経由の商談を月30件創出する」のように、期限と中間指標を含めて目標を設定します。必要なリード数まで具体化することで、実施すべき施策や予算、優先順位を判断しやすくなります。
ターゲット企業と意思決定に関わる人物を整理する
次に、自社の商品やサービスを必要としている企業を明確にします。BtoBでは、企業単位のターゲットだけでなく、導入の意思決定に関わる人物まで整理することが重要です。
ターゲット企業を設定する際は、次のような項目を検討します。
- 業種
- 企業規模
- 従業員数
- 売上規模
- 所在地
- 事業上の課題
- 現在利用している製品やサービス
- 予算や導入時期
たとえば、勤怠管理システムを提供している場合、「従業員100~500人で、複数拠点を運営し、紙や表計算ソフトで勤怠を管理している企業」のように設定します。単に「中小企業」とするよりも、対象企業が抱える課題や利用状況まで具体化したほうが、施策を設計しやすくなります。
さらに、企業内の意思決定に関わる人物も整理しましょう。BtoBでは、情報を収集する担当者、実際に製品を使う現場責任者、セキュリティを確認する情報システム部門、予算を承認する経営層など、複数人が導入に関与することがあります。
同じサービスでも、立場によって関心事は異なります。
- 現場担当者:操作性や業務負担の軽減
- 部門責任者:生産性や管理のしやすさ
- 情報システム部門:セキュリティや既存システムとの連携
- 経営層:費用対効果や投資回収期間
それぞれが必要とする情報を把握することで、訴求内容やコンテンツを適切に設計できます。ただし、開始時点からターゲットを細かく絞り込めるとは限りません。過去の受注情報を分析し、成約しやすい企業の属性や意思決定者の傾向を把握できる場合は、その結果をもとにターゲットを設定します。
一方、受注実績が少なく、明確な傾向を判断できない場合は、無理に対象を限定する必要はありません。まずは一定の範囲に向けて施策を実施し、問い合わせや商談、受注につながった企業や人物の特徴を分析しながら、段階的にターゲットを絞り込んでいく方法も有効です。
認知から商談・受注までの顧客プロセスを設計する
ターゲットを定めたら、顧客が商品やサービスを認知してから、比較・検討を経て受注に至るまでの流れを整理します。
一般的なBtoBの顧客プロセスは、次のように進みます。
各段階で顧客が抱える疑問や必要な情報は異なります。
たとえば、課題を認識したばかりの顧客には、基礎知識を解説するSEO記事や課題解決型のホワイトペーパーが適しています。複数製品を比較している顧客には、機能比較表や料金資料、導入事例が効果的です。導入直前の顧客には、個別相談やデモ、見積もりなどを案内しましょう。
このように顧客の検討段階ごとに施策とコンテンツを設計すると、適切なタイミングで必要な情報を届けられます。
BtoBマーケティング戦略の立て方については、以下の記事で詳しく解説しています。目標設定やターゲットの整理、施策の選定、効果測定までの流れを体系的に確認できるため、自社の戦略を具体化したい方はあわせてご覧ください。
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営業成果につながるKPIを設定する
顧客プロセスを設計したら、施策の進捗と成果を確認するためのKPIを設定します。
KPIをアクセス数やリード数だけに限定すると、マーケティング施策が実際の売上にどの程度貢献したのか判断できません。商談数や受注数まで含めて指標を設定することが重要です。
代表的なKPIには、次のようなものがあります。
- Webサイトのアクセス数
- 問い合わせ数
- 資料ダウンロード数
- リード獲得数
- リード獲得単価
- 有望リード数
- 商談化数・商談化率
- 受注数・受注率
- 受注単価
- 顧客獲得単価
- マーケティング経由の売上額
たとえば、マーケティング経由で月10件の受注を獲得したい場合、受注率が20%であれば50件の商談が必要です。さらに、リードから商談への転換率が10%なら、500件のリードを獲得する必要があります。
このように最終目標から逆算すると、各段階で必要な数値を具体化できます。
マーケティング部門がリード数だけを追い、営業部門が受注数だけを追う状態では、部門間で評価基準がずれる可能性があります。共通の売上目標を起点にKPIを設定し、両部門が同じ指標を確認できる状態を整えましょう。
ターゲットに合った施策とコンテンツを選定する
目的やターゲット、顧客プロセス、KPIを整理したら、実施する施策を選びます。
BtoBマーケティングには、次のような施策があります。
- SEO
- Web広告
- SNS運用
- メールマーケティング
- ホワイトペーパー
- ウェビナー
- 展示会
- 導入事例
- テレマーケティング
- MAツールを活用したリード育成
施策は、流行や他社の成功事例だけで選ぶのではなく、ターゲット企業の情報収集方法や検討段階に合わせて選定します。
たとえば、専門的な課題について検索する企業を対象とする場合は、SEO記事とホワイトペーパーの組み合わせが適しています。短期間で認知を広げたい場合は、Web広告や展示会が候補になります。すでに一定数のリードを保有している場合は、新規獲得よりもメール配信やウェビナーによる育成を優先したほうがよいこともあります。
コンテンツも顧客の検討段階に合わせて用意します。
| 検討段階 | 適したコンテンツの例 |
|---|---|
| 課題を認識する段階 | SEO記事、調査レポート、入門資料 |
| 解決方法を調べる段階 | ホワイトペーパー、ウェビナー、チェックリスト |
| 製品を比較する段階 | 機能比較表、料金資料、導入事例 |
| 導入を判断する段階 | 個別相談、デモ、見積もり、費用対効果資料 |
限られた予算や人員で複数の施策を同時に実施すると、運用が不十分になる可能性があります。目的への貢献度と実施難易度を比較し、優先順位の高い施策から始めましょう。
BtoBマーケティングで活用される主な施策については、以下の記事も参考にしてください。
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営業との連携体制や内製・外注の範囲を決める
施策を継続的に運用するには、担当者や役割分担を明確にする必要があります。特にBtoBマーケティングでは、獲得したリードを営業へ引き渡すため、マーケティング部門と営業部門の連携が欠かせません。
両部門で、次のようなルールを決めておきましょう。
- 有望なリードと判断する条件
- 営業へ引き渡すタイミング
- 引き渡す顧客情報の範囲
- 営業が対応するまでの期限
- 商談結果や失注理由の共有方法
- 検討時期が早い顧客をマーケティングへ戻す方法
たとえば、「資料請求をした顧客はマーケティング部門が育成し、料金ページを複数回閲覧した顧客や個別相談を申し込んだ顧客は営業へ引き渡す」といった基準を設定します。
あわせて、業務を内製するか外注するかも検討します。社内に顧客や商品への理解が必要な業務は内製し、専門性や制作工数が必要な業務は外注する方法があります。
たとえば、戦略やターゲット設定、営業との調整は社内で行い、SEO記事の制作、広告運用、Webサイトの改善、ホワイトペーパーのデザインなどを外部へ委託する形です。
ただし、外注先へすべてを任せると、自社に知識やデータが蓄積されない可能性があります。目的やKPI、ターゲット、成果の判断基準は社内で管理し、外注先とは定期的に情報を共有することが大切です。
▼内製化を考えている方はこちらをチェック
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施策を実行し、効果測定と改善を繰り返す
体制を整えたら、選定した施策を実行し、KPIに基づいて成果を検証します。
BtoBマーケティングは、一度施策を実施すればすぐに最適な結果が出るとは限りません。ターゲットや訴求内容、導線、営業への引き渡し方法などを継続的に見直す必要があります。
たとえば、次のように数値を確認します。
- 記事へのアクセスは増えているか
- 資料のダウンロード率はどの程度か
- 獲得したリードがターゲット条件に合っているか
- リードから商談へ進んだ割合はどの程度か
- どの施策から受注が発生しているか
- 失注理由に共通点がないか
アクセス数が増えてもリード獲得につながらない場合は、記事と資料のテーマが合っていない、資料請求への導線がわかりにくいといった原因が考えられます。リード数が多いのに商談化率が低い場合は、ターゲット設定やフォロー方法を見直す必要があります。
施策単位の数値だけでなく、商談や受注まで追跡し、売上への貢献度を確認することが重要です。成果が出た施策には予算や人員を追加し、成果が低い施策は改善または停止します。
小さな範囲で実行と検証を繰り返し、得られたデータや営業現場の意見を反映することで、自社に合ったBtoBマーケティングの仕組みを構築できます。
代表的なBtoBマーケティング施策

BtoBマーケティングの施策は、顧客の検討段階に応じて役割が異なります。認知を広げる施策、見込み顧客の情報を獲得する施策、獲得した顧客を育成して商談につなげる施策を組み合わせることが重要です。
たとえば、SEOで自社を知ってもらい、ホワイトペーパーのダウンロードによって連絡先を取得し、その後のメール配信やインサイドセールスで商談化を目指す流れが考えられます。
代表的な施策を目的別に整理すると、次のとおりです。
| 目的 | 主な施策 | 期待できる効果 |
|---|---|---|
| 認知を獲得する | SEO、Web広告、SNS運用、プレスリリース、オウンドメディア、動画配信、業界メディアへの掲載、展示会・カンファレンスへの出展 | 自社や商品・サービスの存在を知ってもらい、潜在顧客との接点を増やす |
| 見込み顧客を獲得する | ホワイトペーパー、サービス資料のダウンロード、セミナー・ウェビナー、問い合わせフォーム、無料相談、製品デモ、展示会での名刺交換、調査レポート・チェックリストの配布 | 企業名や担当者名、メールアドレスなどを取得し、継続的に接点を持てる状態をつくる |
| 見込み顧客を育成し商談につなげる | メールマーケティング、ステップメール、ウェビナー、導入事例の配信、MAツール、インサイドセールス、リターゲティング広告、個別相談・デモの案内 | 顧客の関心や検討度を高め、適切なタイミングで営業へ引き渡す |
どれか一つの施策だけで受注まで完結させるのではなく、顧客の検討段階に合わせて複数の施策を連動させることが大切です。ここからは、各施策の役割や活用方法を詳しく解説します。
認知を獲得する施策
認知獲得施策は、自社の商品やサービス、企業名をターゲットに知ってもらうための取り組みです。すでに商品を比較している企業だけでなく、まだ課題を明確に認識していない潜在顧客との接点をつくる役割もあります。
代表的な施策は次のとおりです。
- SEO
- Web広告
- SNS運用
- プレスリリース
- オウンドメディア
- 動画配信
- 業界メディアへの掲載
- 展示会やカンファレンスへの出展
たとえば、法人向けの経費精算システムを提供している企業が、「経費精算の効率化」や「領収書管理の方法」といったテーマでSEO記事を公開すれば、まだ具体的な製品を探していない企業にもアプローチできます。
Web広告は、検索キーワードや業種、役職などをもとに対象を絞り、比較的短期間で接点を増やせる点が特徴です。プレスリリースは、新商品や調査結果、導入実績などを発信し、メディア掲載や指名検索の増加につなげる方法です。
認知獲得では、一度の発信ですぐに商談を得ようとするのではなく、継続的に情報を届けて企業の存在や専門性を覚えてもらう必要があります。どの企業に何を知ってもらいたいのかを明確にし、発信テーマや媒体を選びましょう。
見込み顧客を獲得する施策
見込み顧客を獲得する施策では、顧客に役立つ情報や体験を提供し、企業名、担当者名、メールアドレスなどの情報を取得します。こうして接点を持ち、企業名や担当者名などの情報を取得した見込み顧客を「リード」と呼びます。
代表的な施策は次のとおりです。
- ホワイトペーパー
- サービス資料のダウンロード
- セミナーやウェビナー
- 問い合わせフォーム
- 無料相談
- 製品デモ
- 展示会での名刺交換
- 調査レポートやチェックリストの配布
たとえば、人事評価システムを提供する企業が「人事評価制度の見直しチェックリスト」を無料配布すれば、制度運用に課題を感じている人事担当者との接点を得られます。
ただし、企業側の伝えたい情報だけをまとめた資料では、ダウンロードされにくいことがあります。ターゲットが抱えている課題を整理し、業務にすぐ活用できる資料や、社内説明に使えるデータなどを提供することが重要です。
また、獲得したリードは一括して扱うのではなく、業種、企業規模、役職、流入経路、閲覧したコンテンツなどを記録します。情報を整理しておくことで、その後のメール配信や営業アプローチを適切に行いやすくなります。
見込み顧客を育成し商談につなげる施策
見込み顧客を獲得しても、すぐに商談や契約へ進むとは限りません。BtoBでは検討期間が長くなりやすいため、継続的な情報提供によって関心を高める「リードナーチャリング」が必要です。
代表的な施策は次のとおりです。
- メールマーケティング
- ステップメール
- ウェビナー
- 導入事例の配信
- MAツールによる行動分析
- インサイドセールス
- リターゲティング広告
- 個別相談やデモの案内
たとえば、資料をダウンロードした顧客に対して、すぐに商談を求めるのではなく、数日後に関連する導入事例を送り、その後に比較資料やウェビナーを案内する方法があります。
顧客の検討状況は行動によって異なります。入門記事を1本読んだ顧客と、料金ページを複数回閲覧している顧客では、提供すべき情報や接触のタイミングが同じとは限りません。
MAツールを使えば、メールの開封、資料の閲覧、Webサイト上の行動などをもとに、関心の高い顧客を把握しやすくなります。一定の条件を満たした顧客にインサイドセールスが連絡し、課題や導入時期を確認したうえで営業部門へ引き渡します。
見込み顧客の育成では、顧客の状況に合った情報を提供し、営業部門と連携して適切なタイミングで商談へつなげることが重要です。
BtoBマーケティングを始める際の費用相場

BtoBマーケティングにかかる費用は、利用するツール、実施する施策、内製と外注の範囲によって大きく異なります。
小規模なコンテンツ制作やメール配信から始める場合は、月数万円程度に抑えられることもあります。一方、複数の施策を並行して実施し、広告運用や制作、コンサルティングまで外注する場合は、月数百万円規模になることもあります。
予算を決める際は、単に相場を確認するだけでなく、どの課題を解決するための費用なのか、商談や受注にどの程度つながる見込みがあるのかを考えることが大切です。
ツール利用料(MA・CRMなどの月額費用)
BtoBマーケティングでは、見込み顧客の管理や施策の自動化、営業情報の共有を目的として、各種ツールを利用することがあります。
代表的なツールは次のとおりです。
- MAツール
- CRM
- SFA
- メール配信システム
- アクセス解析ツール
- ウェビナーツール
- フォーム作成ツール
利用料は、簡易的なツールであれば月数千円程度から導入できますが、登録リード数、利用人数、機能、サポート内容によっては月十数万円以上になることもあります。初期設定やデータ移行のために、別途初期費用が発生する製品もあります。
たとえば、保有リードが数百件で、メール配信と簡単な顧客管理だけを行いたい企業に、高機能なMAツールは過剰かもしれません。一方、数万件のリードを管理し、営業部門と詳細な行動履歴を共有したい企業では、安価なツールでは機能が不足する可能性があります。
現在のリード数や担当人数、必要な機能を整理し、今後の事業拡大も踏まえて選びましょう。
施策実行費(広告費・制作費など)
施策実行費には、広告の出稿費用や、記事、資料、動画などのコンテンツ制作費が含まれます。
主な費用項目は次のとおりです。
- Web広告の出稿費
- SEO記事の制作費
- ホワイトペーパーの制作費
- WebサイトやLPの制作・改善費
- 動画の企画・撮影・編集費
- ウェビナーの運営費
- 展示会の出展料や装飾費
- メール配信コンテンツの制作費
目安として、SEO施策は月10万〜100万円程度、Web広告は月20万〜500万円程度まで幅があります。ただし、対象キーワードや業界の競争状況、記事本数、広告媒体、目標とするリード数によって金額は大きく変わります。
たとえば、SEO記事を月2本制作する場合と、戦略設計、キーワード調査、記事制作、サイト改善まで一括で依頼する場合では、必要な費用は同じではありません。
Web広告も、広告費だけでなく、LP制作費やバナー制作費、運用手数料がかかることがあります。展示会では出展料のほか、ブースの装飾、配布資料、交通費、人件費なども考慮しなければなりません。
施策ごとの表面的な料金だけでなく、実行に必要な周辺費用まで含めて予算を見積もることが重要です。
外注フィー(代理店・支援会社への委託費)
社内に専門人材や運用時間が不足している場合は、広告代理店やマーケティング支援会社へ業務を委託できます。
主な依頼内容は次のとおりです。
- マーケティング戦略の設計
- SEOや広告の運用
- 記事やホワイトペーパーの制作
- Webサイトの改善
- MAツールの導入・運用支援
- インサイドセールスの代行
- 効果測定やレポート作成
- マーケティング部門の立ち上げ支援
外注費は、依頼する施策や業務範囲によって異なります。月額20万〜100万円程度が中心ですが、限定的な支援であれば月10万円程度から、戦略設計や複数施策の運用、部門立ち上げまで依頼する場合は月300万円を超えるケースもあります。
たとえば、広告運用のみを依頼する場合は、広告費の20%を運用手数料として支払う形式が一般的です。一方、戦略設計からコンテンツ制作、MA運用、営業連携まで一括して依頼する場合は、費用が高くなります。
外注先を選ぶ際は、料金だけでなく、対応範囲、得意業界、成果物、報告頻度、契約期間などを確認しましょう。また、すべてを外部へ任せるのではなく、目的やKPI、ターゲット、最終的な意思決定は社内で管理することが大切です。
BtoBマーケティングにかかる費用の詳しい内訳や予算の決め方については、以下の記事も参考にしてください。
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BtoBマーケティングの費用はいくら|施策別の相場と予算の決め方
BtoBマーケティングを始める際の注意点

BtoBマーケティングでは、施策を始めることよりも、成果につながる形で継続的に運用することが重要です。
アクセス数やリード数が増えても、ターゲットと異なる顧客ばかりであれば、商談や受注にはつながりません。また、短期間で多くの施策を始めると、運用負荷が高まり、十分な検証ができないまま中断する可能性もあります。
ここでは、BtoBマーケティングを始める際に注意したい4つのポイントを解説します。
アクセス数やリード数だけを目標にしない
アクセス数やリード数は、施策の進捗を確認するために必要な指標です。しかし、これらの数値だけを目標にすると、売上につながらない施策を続けてしまう可能性があります。
たとえば、SEO記事へのアクセスが月1万件あっても、ターゲット企業からの問い合わせがほとんどなければ、事業成果への貢献は限定的です。また、資料請求が100件あっても、その大半が対象外の業種や個人であれば、営業部門の対応負担が増えるだけになることもあります。
アクセス数やリード数とあわせて、次の指標も確認しましょう。
- ターゲット企業からのリード数
- 商談数・商談化率
- 受注数・受注率
- 顧客獲得単価
- マーケティング経由の売上額
- 施策ごとの投資対効果
たとえば、リード数が50件から40件に減っても、商談数が5件から10件に増えたのであれば、施策の質は改善していると考えられます。
最終的な売上や利益から逆算してKPIを設定し、リードの量だけでなく質も評価することが重要です。
最初から多くの施策に取り組まない
BtoBマーケティングには、SEO、広告、SNS、ウェビナー、展示会、メール配信など、多くの選択肢があります。しかし、最初からすべてに取り組む必要はありません。
複数の施策を同時に始めると、予算や人員が分散し、各施策の品質が低下しやすくなります。また、成果が出たとしても、どの施策が商談や受注に貢献したのか判断しにくくなります。
たとえば、マーケティング担当者が1人しかいない企業で、SEO記事の制作、広告運用、SNS投稿、ウェビナー開催、メール配信を同時に始めると、それぞれの改善に十分な時間をかけられません。
まずは、自社の課題や顧客の情報収集方法に合った施策を1〜2つに絞りましょう。たとえば、検索ニーズが明確な業界であればSEOとホワイトペーパー、既存リードが多い企業であればメール配信とウェビナーから始める方法があります。
一定期間運用し、成果や課題を確認したうえで、予算や人員を追加して施策を段階的に拡大することが大切です。
マーケティング部門だけで進めない
BtoBマーケティングは、マーケティング部門だけで完結する取り組みではありません。営業部門やカスタマーサクセス部門など、顧客と接する部門との連携が必要です。
マーケティング部門は、どのコンテンツからリードを獲得したか、顧客がWebサイト上でどのような行動を取ったかを把握しています。一方、営業部門は、顧客が商談で何を重視しているか、どのような理由で失注するかを把握しています。
カスタマーサクセス部門は、導入後に顧客がつまずきやすい点や、満足度の高い機能などを知っています。これらの情報を共有すれば、より実態に合った施策やコンテンツを企画できます。
たとえば、営業部門から「価格ではなく、既存システムとの連携可否が失注理由になっている」という情報を得られれば、連携機能を詳しく解説する資料や導入事例を制作できます。
各部門で次の項目を共有しましょう。
- ターゲット企業の条件
- 顧客が抱えている課題
- 有望なリードの判断基準
- 営業へ引き渡すタイミング
- 商談結果や失注理由
- 既存顧客から寄せられる要望
- 共通して追うKPI
部門ごとの役割を明確にしながら、共通の売上目標に向けた全社的な取り組みとして進めることが成果につながります。
BtoBマーケティングで成果が出ない原因や改善方法については、以下の記事も参考にしてください。
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BtoBマーケティングで成果が出ない7つの原因と改善ステップ
短期間で成果を判断しない
BtoBマーケティングは、施策を始めてすぐに受注が増えるとは限りません。顧客の検討期間が長く、社内承認や予算確保に時間がかかるため、成果が現れるまで数か月から1年以上かかることもあります。
特にSEOやオウンドメディアは、記事を公開してから検索順位が安定し、アクセスやリード獲得につながるまで時間を要します。メールマーケティングやウェビナーも、複数回の接触を通じて顧客の関心を高める施策です。
たとえば、ホワイトペーパーをダウンロードした顧客が、情報収集や社内検討を続け、6〜7か月後に商談へ進むケースもあります。施策開始から1〜2か月で受注が発生しないという理由だけで中断すると、将来の商談機会を失う可能性があります。
ただし、長期的に続ければよいという意味ではありません。受注だけでなく、次のような中間指標を確認しましょう。
- 検索順位やアクセス数が改善しているか
- ターゲットからの資料請求が増えているか
- メールの開封率やクリック率が上がっているか
- 有望リードや商談が生まれているか
- 顧客の検討段階が進んでいるか
最終成果が出るまでの途中経過を確認し、改善を続けながら運用することが重要です。施策ごとに必要な検証期間を設定し、短期的な数値と中長期的な売上貢献の両方を評価しましょう。
自社に合った方法でBtoBマーケティングを始めよう

BtoBマーケティングで成果を出すには、自社の課題やターゲットを整理し、認知獲得から商談・受注までの流れを設計することが重要です。SEOや広告、ウェビナーなどの施策は、それぞれの特徴や費用を理解したうえで、自社の目的やリソースに合うものを選びましょう。
また、最初から多くの施策を始めるのではなく、小さく実行して効果を検証し、成果が確認できた取り組みを段階的に広げることが大切です。
「自社の課題が認知・リード獲得・商談化のどこにあるかわからない」「施策の優先順位やKPIを社内だけでは決めにくい」という場合は、外部の専門家に現状整理から相談する方法もあります。
トゥモローマーケティングでは、戦略設計から施策の実行、効果測定、改善まで、各社の課題や体制に合わせて支援しています。BtoBマーケティングの始め方や既存施策の見直しにお悩みの方は、ぜひご相談ください。