リスティング広告のクリック単価相場を徹底解説|SNS広告とのCPCも比較

リスティング広告のクリック単価とは、広告が1回クリックされたときに発生する費用です。

クリック単価は「キーワード」「広告ランク」によって変動し、他の競合とのオークションで決定します。仕組みを理解することで、広告運用の費用対効果を抑えられます。

しかし、以下のような疑問を持っている担当者も多く、リスティング広告の費用対効果を改善できないケースも散見されます。

「クリック単価の決まり方が分からない」

「クリック単価の調べ方を知りたい」

そこで本記事では、リスティング広告のクリック単価というテーマで以下の内容を解説しています。

  • クリック単価の決まり方
  • クリック単価相場
  • クリック単価の調べ方
  • 上限クリック単価の決め方

リスティング広告のクリック単価の決まり方

リスティング広告のクリック単価の決まり方

リスティング広告のクリック単価は「キーワード」「広告ランク」によって変動し他の競合とのオークションで決まります。

まずは「広告ランク」「競合とのオークション」の仕組みについてみていきましょう。

広告ランクの仕組み

リスティング広告のクリック単価は、広告ランクによって変動します。

広告ランクは広告の掲載位置を決定するための数値です。

主な要素は、以下の通りです。

要素詳細
上限クリック単価広告主が1クリックに対して支払う上限額
品質スコア広告の品質を評価する指標
その他要素広告表示オプションなど

広告ランクの計算式は、以下の通りです。

広告ランク=品質スコア×上限クリック単価+その他要素

例えば、上限クリック単価が100円で品質スコアが8の場合、広告ランクは800にその他要素を加えた値となります。

この広告ランクが高いほど、広告の掲載位置が上位になりやすくなります。

競合とのオークション

リスティング広告のクリック単価は、主にリアルタイムオークションによって決定されます。これは、Google広告やYahoo!広告などの主要なプラットフォームで採用されている一般的な方式です。

また、オークションは検索が発生するたびに行われるため、クリック単価は常に変動する可能性があります。

オークションに影響を与える要素は、以下の通りです。

  • 入札単価
  • 広告の品質
  • 広告アセットやその他
  • 広告ランクの下限値
  • 広告のコンテキスト
  • オークションにおける競争力

参考:Google広告のオークションの仕組み|Google広告ヘルプ

入札方法には、以下の2種類があります。

入札方法説明
手動入札広告主が入札単価を直接設定 
自動入札システムが最適な入札額を自動的に設定 

リスティング広告のクリック単価は単純な価格競争ではなく、複数の要素を考慮した複雑なオークションシステムによって決定されます。

リスティング広告のクリック単価相場

リスティング広告のクリック単価相場

WordStreamの2024年の調査によると全業種におけるリスティング広告のクリック単価相場は「約433.1円」です。

平均クリック単価相場は、業界によって変動します。

例えば、Eコマースであれば「約186.84円」、法律関係であれば「1087.22円」などです。

業界によってクリック単価が変動する主な理由については、次項の「リスティング広告のクリック単価に影響する要素」にて解説しています。

参考:Google Ads Benchmarks for YOUR Industry [Updated!]|Wordstream

SNS広告とのクリック単価比較

WordStreamの2024年の調査によると全業種における SNS広告のクリック単価相場は「約136.91円」です。

リスティング広告のクリック単価相場は「約433.1円」のため、SNS広告の方がクリック単価は安価といえます。

業界別のクリック単価相場は、以下の通りです。

業界平均 CPC (SNS広告)平均 CPC (リスティング広告)
Eコマース104.70円186.84円
法律185.23円1087.22円
自動車112.75円396.23円
雇用サービス112.75円328.58円
教育127.25円386.57円
金融&保険178.79円554.08円
医療&健康173.96円422.00円
工業サービス128.86円412.34円
不動産104.70円381.74円
旅行69.26円246.44円

※1ドル=161円で計算(2024年6月のレート)

参考:Google Ads Benchmarks for YOUR Industry [Updated!]|Wordstream
参考:Facebook Ads Benchmarks for 2024: NEW Data + Insights for Your Industry|Wordstream

リスティング広告は主にコンバージョン(商品購入や資料請求など)を目的として活用されることが多く、ユーザーの明確な意図に基づいた検索結果に表示されます。そのため、購買意欲の高いユーザーにリーチできる反面、競争も激しくなりやすく、結果としてクリック単価が高くなる傾向があります。

一方、SNS広告は主に認知度向上やブランディングを目的としており、より広い層にリーチできる反面、即時の購買につながりにくいため、クリック単価は比較的安価です。

ディスプレイ広告とのクリック単価相場比較

WordStreamの2024年の調査によると全業種におけるディスプレイ広告のクリック単価相場は「約101.47円」です。

リスティング広告のクリック単価相場は「約433.1円」のため、ディスプレイ広告の方がクリック単価は安価といえます。

業界別のクリック単価相場は、以下の通りです。

業界平均 CPC (ディスプレイ広告)平均 CPC (リスティング広告)
非営利団体99.86円230.33円
自動車93.42円396.23円
BtoB127.24円536.36円
消費者サービス130.47円1,030.85円
出会い・パーソナル240.99円447.77円
Eコマース72.48円186.84円
教育75.70円387.41円
雇用サービス125.63円328.58円
金融・保険138.52円554.08円
健康・医療101.47円421.01円
家庭用品96.64円473.54円
工業サービス87.98円412.34円
法律115.97円1,087.22円
不動産120.80円381.74円
技術82.15円612.07円
旅行70.87円246.44円

※1ドル=161円で計算(2024年6月のレート)

参考:Google Ads Benchmarks for YOUR Industry [Updated!]|Wordstream

ディスプレイ広告も、SNS広告と同様に、認知度向上を目的としているため、クリック単価は比較的安価となっています。

リスティング広告のクリック単価に影響する要素

リスティング広告のクリック単価に影響する要素

リスティング広告のクリック単価に影響する以下4つの要素について解説します。

  • 配信媒体
  • 業界
  • 地域
  • 時期

配信媒体

リスティング広告のクリック単価に影響する要素の一つに「配信媒体」があります。それぞれの媒体が持つ市場シェアと競合の多さによってクリック単価は変動します。

例えば、Google広告のクリック単価は高騰しがちです。

総務省のデータによれば、日本におけるスマートフォンでの検索エンジンのシェア率は、Googleが75.2%、Yahoo!が24.2%と圧倒的な差があります。

参考:データ集|総務省

このシェア率の差が、Google広告における競争の激しさを生んでいるのです。クリック単価の算出方法には「掲載順位が1つ下の広告の広告ランク」が影響します。

つまり、競合が多ければ多いほど、需要と供給のバランスから入札金額が上がりやすくなり、その結果クリック単価が高騰するのです。

業界

業界もリスティング広告のクリック単価に影響を与える要素の1つです。

この差異は主に各業界の「競争環境」「顧客の生涯価値」に起因しています。

例えば、保険、金融、不動産などの業界です。

これらの業界では一回の成約で得られる利益が大きく、顧客の生涯価値も高いため、広告主は高額なクリック単価でも採算が取れます。また、多くの企業が参入しているため、広告枠を獲得するための競争も激しくなり、結果的にクリック単価が上昇します。

一方、競争の少ない地域の小規模ビジネスなどは、ターゲットとなる顧客層が限定的で競合も少ないため、クリック単価は低いです。

地域

地域もリスティング広告のクリック単価に影響する要素の1つです。

都市部、特に大都市圏では、一般的にクリック単価が高くなる傾向があります。これは、多くの企業が集中し、広告枠を巡る競争が激しいためです。

リスティング広告の地域

引用:Google広告

例えば、上記画像のように「東京」と「地方」のクリック単価を比べると大きな差があるのが分かります。

したがって広告主は、ターゲットとする地域の特性を十分に理解し、適切な予算設定と戦略立案を行うことが重要です。

時期

時期もリスティング広告のクリック単価に影響する要素の1つです。

特定の商品やサービスの需要が高まる季節やイベント時には、クリック単価が上昇する傾向があります。

例えば「スキーウェア」というキーワードは、冬季に向けて徐々にクリック単価が上昇し、ピーク時には通常の2〜3倍になることもあります。

このように、時期による需要と供給の変動がクリック単価に大きな影響を与えるため、広告出稿する際にはターゲットとする時期の特性を理解して戦略を立てることが重要です。

リスティング広告の上限クリック単価の決め方

リスティング広告の上限クリック単価の決め方

上限クリック単価とは、広告の1回のクリックに対して支払い可能な最大金額として設定する入札単価です。

例えば、上限クリック単価を200円に設定した場合、クリック1回につき200円を超えることはありません。

上限クリック単価を決める方法は、以下の2つの方法があります。

  • 目標CPAとコンバージョン率から決める
  • クリック単価の相場から決める

目標CPAとコンバージョン率から決める

適正な上限クリック単価は「目標CPA×コンバージョン率」で算出できます。この方法は、広告主の目標と実際の成果を直接結びつけられる点がメリットです。

まずCPAとは、1件のコンバージョンを獲得するためにかかった広告費用のことです。

一方、コンバージョン率は、LP(ランディングページ)を訪れたユーザーのうち、商品の購入や問い合わせなど、最終的な成果に至った人の割合を示します。

この2つの指標を掛け合わせることで、1クリックあたりにかけてもよい上限金額が算出できます。

具体例を挙げると、目標CPAが10,000円で、現在のコンバージョン率が2%の場合、適正な上限クリック単価は10,000円 × 2% = 200円です。

つまり、1クリックあたり200円まで支払う準備があれば、目標のCPAを達成できる可能性が高いということです。この方法の利点は、広告主の目標(CPA)と実際の成果(コンバージョン率)に基づいて上限クリック単価を設定できることです。

そのため、より戦略的で効果的な広告運用が可能となります。

クリック単価の相場から決める

クリック単価の相場を参考にして、上限クリック単価を決める方法も有効です。この方法は、市場を加味した現実的な単価設定が可能なため、多くの広告主に活用されています。

クリック単価の相場を知るためには、主要な広告プラットフォームが提供するツールを利用しましょう。

具体的には、Googleのキーワードプランナーでは「予測値」、Yahooのキーワードアドバイスツールでは「推定CPC」の項目で、各キーワードのクリック単価の相場を確認することができます。

例えば、あるキーワードのツールが示す相場が300円だったとしましょう。

この場合、広告主は300円前後を基準に、自社の予算や目標に応じて上限クリック単価を設定します。

競争が激しい場合は相場よりやや高めに、逆に競争が緩やかな場合は相場よりやや低めに設定するなど、柔軟な調整が可能です。リスティング広告のクリック単価の調べ方については、次項で解説しています。

また当社、トゥモローマーケティング株式会社では、広告運用業務以外に内製化サポートを提供しています。

リスティング広告の上限クリック単価の決め方がわからない方向けに、広告のプロが無料診断でアドバイスさせていただきます。

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リスティング広告のクリック単価の調べ方|Google広告

リスティング広告のクリック単価の調べ方|Google広告

Googleリスティング広告のクリック単価の調べ方は、以下の手順で進めます。

キーワードプランナーでクリック単価を調べる方法

引用:Google広告

Google広告を立ち上げて「ツール」→「キーワードプランナー」→「検索のボリュームと予測データを確認する」をクリックします。

キーワードプランナーでクリック単価を調べる方法2

引用:Google広告

リスティング広告のクリック単価を知りたいキーワードを入力して「開始」を選択してください。

キーワードプランナーでクリック単価を調べる方法3

引用:Google広告

「予測」のタブをクリックすると、平均クリック単価が表示されます。

リスティング広告のクリック単価を下げる方法5選

リスティング広告のクリック単価を下げる方法5選

リスティング広告のクリック単価を下げる方法5選を紹介します。

  • ターゲットを絞る
  • 広告の品質スコアを向上させる
  • 除外キーワードを活用する
  • 広告表示オプションを設定する
  • 入札戦略のクリック数の最大化を活用する

ターゲットを絞る

リスティング広告のクリック単価を下げるためには、ターゲットを絞る方法が効果的です。

ターゲットを明確に絞ることで、より関心の高い顧客にリーチし、クリック単価を抑えることができます。

まずは、以下のようなデモグラフィック情報を洗い出す必要があります

  • 年齢
  • 性別
  • 地域
  • 興味・関心

例えば、若い女性向けの美容製品を販売している場合、ターゲット層を「20代から30代の女性、都市部在住、美容やファッションに関心がある人」に絞ることができます。

このようにターゲットを明確に設定することで、広告表示するユーザーの質が向上し、クリック単価を下げることが可能です。また、ターゲット層に関連するキーワードを慎重に選定し、特定のニッチ市場に焦点を当てることで、競争が少ないキーワードを見つけられます。

具体例として「オーガニックフェイスクリーム」などの具体的なキーワードは、一般的な「フェイスクリーム」よりも競争が少なく、クリック単価を抑えることができます。

特に、BtoB(企業間取引)の場合、決裁権を持つ役職者のみをターゲットにすると、多くの競合他社も同じターゲット層を狙っているため、競争が激しくなりクリック単価が上昇する傾向があります。

このような状況を避けるためには、決裁者だけでなく、製品やサービスの利用者や影響力を持つ中間管理職なども含めたより広い範囲でターゲティングを行うことで、クリック単価を抑えつつ、効果的なリーチを実現できます。

広告の品質スコアを向上させる

品質スコアが高い広告は、同じ掲載順位を獲得するために他の広告主よりも低い入札価格で競り合うことが可能です。

品質スコアとは、広告の品質の目安を数字で表す診断スコアです。

具体的には、以下の要素を考慮し、スコアが決定します。

要素詳細
推定クリック率(推定 CTR)クリックされる可能性の高さ
広告の関連性広告がユーザーの検索意図と一致する度合い
LPの利便性広告とLPの関連性

参考:品質スコアについて|Google広告ヘルプ

実際のクリック単価は「掲載順位がひとつ下の競合他社の広告ランク÷自社の品質スコア+1円」で算出されます。

例えば、以下のケースでのクリック単価を見ていきましょう。

  • 他社の広告ランク:800、他社の品質スコア:5
  • 自社の広告ランク:900、自社の品質スコア:6

この場合、自社の広告を掲載したときの実際のクリック単価は以下の通りです。

800(他社の広告ランク)÷6(自社スコア)+1=134円(クリック単価)

仮に、自社の広告ランクが「6」→「8」に上がった場合の単価は、以下のようになります。

800(他社の広告ランク)÷8(自社スコア)+1=101円(クリック単価)

このように、品質スコアを向上させることでクリック単価を抑えることができ、広告予算を効率的に活用することが可能となります。

除外キーワードを活用する

リスティング広告のクリック単価を下げるためには「除外キーワードを活用する」方法も効果的です。

除外キーワードを適切に活用することで、不必要なインプレッションを減らし、クリック単価を低減できます。

除外キーワードの選定は、以下の手順で実施します。

  1. Google広告の「キャンペーンのタブ」をクリック
  2. メニューから「分析情報とレポート」→「検索語句」をクリック
  3. 表示された検索語句のリストから、自社の商品やサービスに関連性の低い語句を見つける
  4. 除外キーワードとして追加したい検索語句のチェックボックスをオンにして「除外キーワードとして追加」をクリック

参考:検索語句レポートを使って除外キーワードの候補を取得する|Google広告ヘルプ

例えば、高級腕時計を販売している場合「安い」や「中古」といった単語を除外キーワードに設定することで、これらの単語を含む検索クエリに対して広告が表示されなくなります。

広告表示オプションを設定する

リスティング広告のクリック単価を下げるための効果的な方法として「広告表示オプションを設定する」のも有効です。

広告表示オプションを設定するとユーザーへの情報量が増えるため、クリック率が向上します。

具体的には、サイトリンク拡張、コールアウト拡張、構造化スニペットなどのオプションを追加することで、広告の魅力度が増し、ユーザーの興味を引きやすくなります。

例えば、オンライン書店の広告に「24時間営業」「送料無料」「100万冊以上の在庫」といったコールアウトを追加することで、ユーザーに対してより多くの価値提案が可能です。

これにより、クリック率が上昇し、広告の品質ランクも向上し、同じ掲載位置でもより低いクリック単価で競争できるようになります。

入札戦略のクリック数の最大化を活用する

リスティング広告のクリック単価を下げる方法として「入札戦略のクリック数の最大化を活用する」方法も有効です。

クリック数の最大化は、キャンペーン単位で設定でき、予算の範囲内でクリック数を最大化することを目的としています。また、任意で上限クリック単価を設定することもできるため、コスト管理が容易です。

例えば、上限CPCを100円に設定した場合、1クリックあたりの費用は100円を超えることはありません。

一方、上限を指定しなかった場合は、予算の範囲内で最大限のクリック数が得られるよう入札単価が自動調整されます。

ただし、クリック数の最大化は、あくまでクリック数を目的としており、コンバージョン数の増加に関しては考慮されていません。そのため、運用初期にデータを集めたい場合や、キャンペーンやセールを行なっている際に多くの人を集めたいときに適している戦略です。

リスティングのクリック単価を下げたい方は、当社、トゥモローマーケティング株式会社までご相談ください。

当社では、リスティング広告の設計によって顧客獲得単価を30%カットした事例がございます。

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まとめ

リスティング広告のクリック単価は、広告が1回クリックされたときに発生する費用です。単価は「キーワード」「広告ランク」によって変動し他の競合とのオークションで決まります。

リスティング広告のクリック単価相場は「約433.1円」で、SNS広告やディスプレイ広告などに比べて高額です。

リスティング広告は、購買意欲の高いユーザーにリーチできる反面、競争も激しくなりやすく、結果としてクリック単価が高くなるためです。リスティング広告の上限クリック単価は「目標CPAとコンバージョン率」または「クリック単価の相場」から適切な額を設定しましょう。

当社、トゥモローマーケティング株式会社では「リスティング広告運用」や「内製化」などの支援をしています。

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