リスティング広告を内製インハウス化する手順と成功ポイント!代理店との違いも解説【決定版】
リスティング広告の運用を代理店に任せている企業では、運用の透明性やコスト面での課題を抱えているケースが少なくありません。特に、代理店手数料の負担や施策実行のスピード感、データのブラックボックス化などが問題となり、自社での運用体制構築を検討する企業もあります。
しかし、インハウス化には専門人材の確保や運用ノウハウの蓄積、属人化リスクなど、クリアすべきハードルも多いです。段階的な移行計画や適切な体制構築なしに内製化を進めると、かえって成果が悪化する可能性もあります。
そこで本記事では、リスティング広告インハウス化のメリット・デメリット、成功に向けた8つのステップ、失敗しやすいケースと対策、さらには専門業者による伴走支援の活用方法まで、実践的なポイントを詳しく解説します。
Contents
リスティング広告インハウス化とは?代理店との違いなど

リスティング広告のインハウス化とは、企業が検索広告運用を「外注せず自社で行う体制への移行」を指します。
従来は広告代理店に任せていた業務を内部で完結させることで、自社リソースを活用したコスト削減や迅速な対応、そして貴重なノウハウの蓄積といった効果が期待できるでしょう。
リスティング広告のインハウス化には、大きく分けて2つのアプローチがあります。
- フル内製:全工程を自社で担う(戦略立案、キーワード選定、入札調整、レポーティングまですべて社内実施)
- セミ内製:一部工程のみ自社対応(日常の運用管理は自社、戦略立案や大規模クリエイティブ制作は外部パートナーと協働など)
インハウス化の流れは単なるトレンドではありません。自社の目的や状況に応じて内製化を検討し、他社事例も踏まえて最適な選択を行うことが重要です。
広告代理店に任せる場合との違い
代理店への委託は広告運用の専門知識を活用でき、自社運用は自社事業への深い理解を役立てられるという大きな違いがあります。
内製化と代理店利用、それぞれの特徴を比較すると、以下のような違いが明確になります。
比較項目 | 内製化(インハウス) | 代理店利用 |
コスト | 代理店への手数料不要(人件費・教育費は発生) | 手数料:概ね広告費の15~20%程度 |
対応スピード | 即時対応が可能 | 伝達・調整に時間が必要 |
専門知識 | 自社で育成が必要 | 代理店の専門性を活用 |
データ透明性 | 完全に把握可能 | 開示情報に制限あり |
リソース | 社内人材が必要 | 社内リソース不要 |
ノウハウ蓄積 | 社内に蓄積される | 代理店に依存 |
内製なら社内で即時に方針変更・改善が可能ですが、代理店経由だと伝達や調整に時間を要します。また、自社運用は人材の確保が必要である一方、代理店利用なら自社リソースを割かずに済む分、依存度が高まるというトレードオフが存在します。
もう一つ重要な違いは「情報の透明性」にあります。内製では広告アカウントやデータを自社で直接把握できる一方、代理店任せでは開示情報に限りがあるケースも多いです。実際の入札単価や詳細な配信設定が見えないことで、改善ポイントの特定が困難になることもあるでしょう。
どちらを選ぶにせよ、自社の状況と目的に応じた最適な選択をすることが大切です。
なぜBtoB企業でインハウス化が進んでいるのか
BtoBのニッチ商材では、代理店に伝わる情報が限られ、的外れなキーワード設定が起こりがちです。専門性の高い製品やサービスの価値を深く理解していないと、検索ユーザーの真のニーズを捉えることは困難でしょう。
さらに、小規模予算だと代理店では経験の浅い担当者が割り当てられ、十分な成果が望みにくいという現実もあります。
BtoB企業が内製化を選択する主な理由として、以下のような課題が挙げられます。
- 業界理解の不足:専門用語や製品特性への理解が浅く、的確なキーワード選定ができない
- 提案の消極性:定型的な運用に終始し、積極的な改善提案が少ない
- レスポンスの遅さ:変更依頼から実行まで時間がかかり、機会損失が発生
- ブラックボックス化:詳細な配信データや設定内容が開示されず、改善ポイントが不明確
- 費用対効果への疑問:手数料に見合った価値提供がされているか判断できない
代理店側の熱意や積極的提案が感じられず、自社で主体的に運用したいというケースも増えています。
市場や競合の変化に即応するため、代理店を介さず迅速に施策を回せる内製化を選択する企業も少なくありません。
最も重要なのは、広告運用を社内に置くことで営業部門と密に連携でき、リードの質改善などフィードバック反映が容易になる点です。
リスティング広告インハウス化のメリット

インハウス化によって実現できる主要なメリットを表にまとめました。
メリット | 詳細内容 | 期待される効果 |
ノウハウ蓄積 | ・運用知識が組織資産として残る ・担当者の成長が企業の競争力に直結 ・失敗事例も含めた学習機会の獲得 | 長期的な運用力向上、独自の勝ちパターン確立 |
レスポンス向上 | ・施策の即時実行が可能 ・市場変化への迅速な対応 ・競合の動きに合わせた機動的な調整 | 機会損失の削減、競争優位性の確保 |
データの完全管理 | ・データの完全な可視化 ・詳細な分析による改善ポイントの発見 ・過去データの蓄積と活用 | データドリブンな意思決定、精度の高い予測 |
費用対効果の透明化 | ・予算配分の最適化が容易 ・投資判断の精度向上 ・無駄な広告費の削減 | ROI改善、予算効率の最大化 |
システム連携の柔軟性 | ・マーケティング全体の効率化 ・顧客データとの統合分析が可能 ・MAツールとの連携強化 | マーケティング施策の統合的な実行 |
KPIの一元管理 | ・売上/LTV/CACなどとの連携 ・部門間連携の強化 ・顧客品質の継続的改善 | ビジネス成果への直接的な貢献 |
コンプライアンス対応 | ・自社方針に沿った運用が可能 ・個人情報管理の一元化 ・法規制への迅速な対応 | リスク管理の強化、企業信頼性向上 |
リスティング広告を内製化する最大のメリットは、社内でノウハウを蓄積しやすくなることです。日々の運用を通じて得られる知見や改善手法が組織内に残り、長期的な競争力の源泉となります。
また、レスポンスの速さと柔軟性も飛躍的に向上し、市場の変化や競合の動きに対して素早く対応できるようになるでしょう。
これらのメリットを最大化するには戦略的なアプローチが欠かせません。内製化によって得られる自由度と責任を適切にマネジメントし、継続的な改善サイクルを回すことが成功のポイントです。
リスティング広告インハウス化のデメリット

内製化を進める上で直面する主なデメリットを、以下の表で整理しました。
デメリット | 詳細内容 | 想定されるリスク |
人材確保・教育の負担 | ・デジタルマーケティング人材の採用競争激化 ・育成に時間とコストがかかる ・即戦力人材の不足 | 初期投資の増大、立ち上げ期間の長期化 |
属人化リスク | ・特定担当者への依存 ・離職リスクによる運用停止の危険性 ・ナレッジ共有の仕組み構築が必要 | 運用の継続性低下、品質の不安定化 |
技術的ハードル | ・AIアルゴリズムへの理解が必須 ・継続的な学習と最新情報のキャッチアップ ・試行錯誤による時間的ロス | 競合との技術格差、機会損失の発生 |
リソース圧迫 | ・ルーティン作業に時間を取られる ・戦略的施策の検討時間が不足 ・他業務への影響 | 業務効率の低下、本業への支障 |
制作体制の課題 | ・デザイナーやコピーライターの確保 ・制作フローの確立に時間がかかる ・品質管理の難しさ | クリエイティブ品質の低下、更新頻度の減少 |
コンプライアンスリスク | ・広告審査基準の把握と対応 ・法規制(薬機法、景表法等)への理解 ・違反による広告停止リスク | 広告配信停止、ブランド毀損、罰則リスク |
成果までの時間 | ・試行錯誤による初期の成果低下 ・ベストプラクティスの確立まで時間が必要 ・代理店の経験値との差 | 短期的な成果悪化、ROI低下 |
リスティング広告の内製化には、専門知識・スキルを持つ人材の確保と教育が必要になるという大きな課題があります。運用が属人化しやすく、継続性が課題になることも避けられません。
また、広告業務では日々の運用管理が必要になり、専任担当者でない限り他業務のリソースが圧迫されます。結果として社内人件費が想定以上にかかり、本来期待していたスピード感が落ちるケースも少なくありません。
キーワードの追加や除外、入札調整、レポート作成など、細かな作業の積み重ねが担当者の負担となり、戦略的な施策検討の時間が取れなくなる恐れもあるでしょう。
企業がリスティング広告をインハウス化するポイント・手順

インハウス化を成功させるには、以下の手順で進めるとよいでしょう。
- 自社で担う範囲を明確にし、段階的に内製化する
- インハウス体制に必要な人材を育成する
- アカウント権限・請求管理・計測タグを整備する
- 自社KPIに合ったレポートとダッシュボードを構築する
- P-Maxやスマート入札に対応する設計を整える
- クリエイティブとLP制作フローの内製・外注を判断する
- RACIを設計し、外部パートナーとの役割分担を明確にする
- 継続的な運用改善のための会議・ナレッジ共有体制を作る
多くの企業が陥りがちなのは、準備不足のまま早急に内製化を進めてしまうことです。代理店からの移行期間を十分に設け、並行運用しながら徐々に社内体制を整えていきましょう。
自社で担う範囲を明確にし、段階的に内製化する
内製化する業務範囲と、引き続き外注する領域を明確に区分して計画を立てることが第一歩となります。全業務を一度に切り替えず、自社で対応可能な部分から段階的に内製化を進めるアプローチが現実的でしょう。
必要に応じて代理店運用と内製化を一定期間並行し、成果を比較検証しながら移行を進めることも有効です。初期段階では外部の専門家から内製化支援を受け、ノウハウを吸収しつつ社内運用体制を整えます
段階的な移行には時間がかかりますが、着実な基盤構築につながります。焦って全面移行すると、運用品質の低下や成果の悪化を招く可能性があります。
インハウス体制に必要な人材を育成する
運用型広告やデジタルマーケティングの知識・実務経験を持つ人材を育成するか、外部から採用することが必要です。キーワード選定や入札調整など広告運用の実務スキルに加え、データ分析や改善提案ができる人材が求められます。
インハウス運用に必要なスキルセットを整理すると、以下のような要素が挙げられます。
- 基礎スキル
- Google広告、Yahoo!広告の基本操作
- キーワード選定とマッチタイプの理解
- 広告文作成とA/Bテストの実施
- 分析スキル
- Google Analytics等の分析ツール活用
- データから改善ポイントを見つける能力
- レポート作成と可視化
- ビジネススキル
- 自社商品・サービスの深い理解
- マーケティング戦略の立案
- ROI意識と予算管理能力
自社の業界動向や製品知識に通じ、マーケティング思考も備えた人材だと理想的でしょう。
社内に経験者がいない場合は、育成計画を策定し、外部研修の活用や資格取得支援などでスキル習得を促すことが重要です。
アカウント権限・請求管理・計測タグを整備する
自社名義の広告アカウントを開設し、管理者権限を社内で保持することが基本となります。広告の請求先や支払い方法を自社管理とし、広告費の消化状況を正確に把握できるようにしなければなりません。
アカウント管理で整備すべき項目を、チェックリストにまとめました。
【アカウント管理チェックリスト(例)】
- 自社名義でのアカウント開設
- 管理者権限の適切な設定
- 請求先クレジットカードの登録
- 予算上限の設定
- コンバージョンタグの実装
- リマーケティングタグの設置
- Google Tag Managerの導入
- アカウント間のリンク設定(Analytics等)
- バックアップ管理者の設定
- アクセス権限の定期見直しルール策定
コンバージョン計測タグをサイトに正しく実装し、クリック数やCV件数など成果データを漏れなく収集する体制が必要です。
また、社内担当者ごとにアカウント権限を適切に設定し、セキュリティと運用効率を両立させることも重要です。編集権限、閲覧権限、請求権限などを役割に応じて細かく設定し、不要なリスクを回避します。
自社KPIに合ったレポートとダッシュボードを構築する
自社のビジネスモデルに応じて、売上・コンバージョン数・顧客獲得単価など重視するKPIを明確化することから始めます。主要KPIを見やすく可視化したダッシュボードを構築し、チーム全員で成果指標を共有できる環境を整えましょう。
レポート作成を自動化し、分析に集中できる環境を整備して、定期的にKPIの推移を確認して施策改善に活かすことが重要です。
費用対効果の目安や予算構築を検討する際は、クリック単価の相場なども参考にしましょう。
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P-Maxやスマート入札に対応する設計を整える
リスティング広告は検索広告が中心ですが、P-Maxやバナー広告を併用する場合は、自動入札を最大限活用するためコンバージョン目標や価値を明確に設定する必要があります。
P-Max運用に必要な商品フィードやクリエイティブ素材を用意し、AIが学習・最適化できる環境を整えましょう。
スマート入札は学習期間が必要なため、短期で成果を判断せず、中長期的な視点で運用することが大切です。自動化任せにせず定期的に結果を分析し、人の判断で入札目標や予算配分を調整して安定した成果につなげる必要があります。
AIの判断を鵜呑みにするのではなく、ビジネス観点から妥当性を検証することも欠かせません。シーズナリティやキャンペーン期間など、AIが考慮しきれない要素は人間が補完する必要があります。
クリエイティブとLP制作フローの内製・外注を判断する
広告文作成やバナー制作など、クリエイティブ業務を自社で対応できるかを評価します。LP(ランディングページ)制作についても、社内で行うか外部制作会社に委託するか検討し、それぞれのメリット・デメリットを比較します。
リスティング広告は検索広告が中心となりますが、P-Maxやディスプレイ広告を併用する場合は、バナーや動画素材の制作体制も考慮する必要があるでしょう。
デザインなど専門性の高い領域は外注して品質を確保し、戦略立案やメッセージ作成は内製して一貫性を保つハイブリッド型も有効です。
効率的な制作フローを構築するために、内製と外注のコスト・スピード・品質を比較検討し、最適なフローを構築しましょう。
広告文やLPの最適化に悩んでいるときは、書き方や例文を参考にすることも手助けになります。
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とはいえ、すべてを内製する必要はありません。自社の強みを活かせる領域に注力し、専門性が必要な部分は適切にアウトソースすることで、効率的な運用体制が構築できます。
RACIを設計し、外部パートナーとの役割分担を明確にする
インハウス化に関わる各業務について、RACIモデルで責任者(Responsible)・説明責任者(Accountable)・協議先(Consulted)・報告先(Informed)を明確化します。
社内チームと外部パートナー(代理店やコンサル)の役割を定義し、タスクの重複や抜け漏れを防ぐことが重要です。
たとえば、戦略立案は社内がAccountable、日次の運用は社内がResponsible、クリエイティブ制作は外部がResponsible、といった形で明確に定義します。
役割分担の曖昧さは後々のトラブルの原因となりやすいです。定期的なミーティングで各自の責任範囲を確認し、必要に応じて調整することも大切でしょう。
プライバシーへの対応やルールを整備する
個人情報保護やクッキー規制への対応など、プライバシー関連ルールを遵守する体制を整えることが必須です。広告配信の透明性やブランドセーフティを確保するため、業界基準への準拠も考慮しましょう。
プライバシー対応で整備すべき主な項目を、以下にまとめました。
- 法規制対応
- 個人情報保護法の遵守体制構築
- プライバシーポリシーの整備と公開
- オプトアウト機能の実装
- 広告規制対応
- 薬機法、景表法の理解と遵守
- 広告審査基準の把握
- 違反事例の学習と回避策
- データ管理
- 個人データの適切な管理
- サードパーティクッキー廃止への対応
- ファーストパーティデータの活用準備
広告媒体の掲載基準や業法上の規制を定期的に確認し、違反による出稿停止リスクを未然に防ぐ必要があります。
社内で広告表現に関するガイドラインを策定し、担当者への教育と情報共有を徹底することも重要です。
さらに、薬機法、景表法、著作権法など、関連する法規制への理解を深め、コンプライアンス体制を強化しましょう。
継続的な運用改善のための会議・ナレッジ共有体制を作る
運用状況を定期的に振り返るミーティングを開催し、成果データをもとに改善策を議論する場を設けます。週次の運用レビュー、月次の成果報告、四半期ごとの戦略見直しなど、定期的なサイクルを確立しましょう。
社内で広告運用のナレッジ共有の仕組み(ドキュメントや勉強会)を整備し、属人化を防止することが重要です。複数メンバーでアカウントをレビューするなどチームで運用を支え、担当者が不在でも滞らない体制を築く必要があります。
さらに、成功事例や失敗事例を共有し、組織全体の学習を促進する文化を醸成しましょう。
リスティング広告のインハウス化で失敗しやすいケース

インハウス化で陥りやすい失敗パターンを整理すると、以下の8つのケースが挙げられます。
- 人材が足りない状態で全面的に切り替え
- インハウス化の目的が曖昧なまま体制構築を開始
- KPIや成果定義を決めずに運用が場当たり的
- 外注からの移管でアカウント・データ引き継ぎに失敗
- 自動入札・P-Max任せで成果が不安定
- ガイドライン違反・法規制の見落としによる広告停止
- 属人化により運用が停止・品質低下
- 政策・媒体アップデートに対応できず陳腐化
これらの失敗は、事前の準備と計画によって回避可能なものばかりです。
重要なのは、よくある失敗パターンを理解し、それぞれに対する対策を講じることです。
人材が足りない状態で全面的に切り替え
運用を担う人員が不足したまま内製化を一気に進めてしまい、日々の管理・最適化が手に回らなくなるケースは非常に多くみられます。少人数での兼務状態だと、分析や改善まで手が回らず「配信するだけ」になってしまい、効果が頭打ちになってしまいます。
場合によっては、キーワードの追加・除外、入札調整、レポート作成などの基本業務すら滞り、広告効果が急速に悪化することもあるでしょう。
結局成果が出せず再び代理店に外注する事態となり、コストと時間を失う可能性もあります。
このような失敗を避けるには、現実的なリソース評価が不可欠です。必要な工数を正確に見積もり、十分な人材を確保してから移行を開始すべきでしょう。
注意点として、運用業務の工数は想定以上に膨らむことが多いため、余裕を持った人員配置が重要です。
インハウス化の目的が曖昧なまま体制構築を開始
コスト削減なのか、成果向上なのかなど、内製化の目的が不明確なまま進めると「方針が定まらない」という問題が生じます。なぜ内製化するのか共通認識がないと社内の協力を得られにくく、チームのモチベーションも上がりません。
目的が曖昧な場合に起こる問題を整理すると、以下のようになります。
カテゴリ | 起こる問題 | 結果 |
評価基準 | 成功の定義が不明 | 効果測定ができない |
リソース配分 | 優先順位が決められない | 非効率な投資 |
チーム運営 | モチベーション低下 | 離職リスク増大 |
経営層の理解 | 支援を得られない | 予算・人員不足 |
改善方向性 | 施策が迷走 | 成果の停滞 |
経営層、マーケティング部門、営業・EC部門それぞれの期待値がバラバラで、評価基準も統一されていない状態では成功は望めないでしょう。結果的に何を重視すべきか曖昧なまま手探り状態となり、効果検証もできずに施策が迷走してしまいます。
目的が不明確だと、投資判断や人材配置の優先順位もつけられません。
明確な目的とそれに紐づくKPIを設定し、全社的な合意を得てから着手することが成功の前提条件となります。目的は具体的かつ測定可能なものにし、定期的に達成度を確認する仕組みを作りましょう。
KPIや成果定義を決めずに運用が場当たり的
成果指標となるKPIを設定しないと、運用の評価基準がなく改善の方針が定まりません。KPIがないまま施策を実行すると、短期的な数値変動に一喜一憂して運用の軸がブレがちになります。
その結果、インプレッション数が増えたから良い、クリック率が下がったから悪い、といった表面的な判断に陥りやすいでしょう。成功か失敗か判断できず適切なPDCAを回せないため、広告効果が停滞してしまいます。
重要なのは、KPIは固定的なものではなく、ビジネスの成長に応じて見直すべきだということです。初期段階では認知度向上、成長期には顧客獲得、成熟期には効率化など、フェーズに応じた適切な指標設定が求められます。
注意点として、多すぎるKPIは逆に焦点がぼやけるため、重要な指標に絞り込むことが大切です。
外注からの移管でアカウント・データ引き継ぎに失敗
代理店から自社への広告アカウント移管時に、権限付与の不備や引き継ぎ漏れが発生することがあります。過去のキャンペーン実績データやコンバージョン設定を引き継げず、運用ノウハウが活かせなくなるケースも多いです。
アカウント移管時の典型的な失敗と対策を、以下にまとめます。
失敗パターン | 発生する問題 | 予防策 |
権限移管ミス | アカウントにアクセスできない | 事前に権限構造を確認 |
データ消失 | 過去の実績が見られない | エクスポート・バックアップ |
タグ設定漏れ | コンバージョン計測不能 | タグの動作確認テスト |
リスト消失 | リマーケティング不可 | オーディエンスリストの移管確認 |
請求先エラー | 広告配信停止 | 支払い設定の事前確認 |
これらの問題の多くは、事前の計画と確認により防げます。移管チェックリストを作成し、すべての設定や履歴データが正しく引き継がれることを確認しましょう。
自動入札・P-Max任せで成果が不安定
P-Maxやスマート入札に頼り切りで人的な調整を行わないと、意図しないユーザー層に配信されるなど成果が安定しません。自動入札のアルゴリズムを十分理解せず導入すると、学習データ不足や目標設定ミスによってROIが悪化する恐れがあります。
特に、コンバージョン数が少ない状態で自動入札を使用すると、学習が進まず効果的な最適化ができないでしょう。AI任せで運用改善策を検討しなくなると、結果の良し悪しの原因分析ができず、対策を打てないまま迷走しかねません。
とはいえ、自動化機能を否定するわけではありません。適切に活用すれば大きな成果が期待できますが、人間の判断と組み合わせることが重要です。
自動入札は万能ではなく、ビジネス特性や市場環境に応じた調整が必要だということを理解しておきましょう。
ガイドライン違反・法規制の見落としによる広告停止
広告文やLPの内容がGoogle/Yahoo!などのポリシーに抵触し、審査落ちやアカウント停止となるリスクは常に存在します。医療・金融・美容分野などでは、薬機法や景表法の表示義務を守らないと、違反として広告配信が止まることもあるでしょう。
よくある広告規制違反の例を、業界別に整理します。
業界 | 主な規制 | よくある違反例 | ペナルティ |
医療・健康 | 薬機法 | 効果効能の断定表現 | 広告停止・罰金 |
金融 | 金融商品取引法 | リスク説明不足 | 行政指導 |
不動産 | 宅建業法 | 誇大広告 | 免許取消の可能性 |
人材 | 職業安定法 | 虚偽の求人情報 | 罰則適用 |
美容 | 薬機法・景表法 | ビフォーアフター画像 | 措置命令 |
全業界共通 | 景表法 | 根拠のない最上級表現 | 措置命令 |
「最高」「業界No.1」といった最上級表現や、根拠のない効果効能の訴求は、即座に違反となる可能性があります。
ポリシー違反によるアカウント凍結や罰則といった重大なリスクもあり、最新の規定確認と遵守が不可欠です。一度アカウントが停止されると、復旧に時間がかかり、その間の機会損失は計り知れません。
これらのリスクを回避するには、定期的な規約確認と社内教育が必要です。媒体ごとのポリシー変更情報をキャッチアップし、常に最新の基準に準拠した広告運用を心がけましょう。
属人化により運用が停止・品質低下
特定の担当者にノウハウが集中し、その者が離職すると広告運用が立ち行かなくなるケースは非常に多いです。アカウント構造や運用ロジックが複雑で、前任者にしか理解できない状態では、継続的な運用は困難でしょう。
また、マニュアルや引き継ぎが不十分だと、新任担当者が対応できず広告配信が止まることもあります。担当者依存でチェック体制がないとミスを見逃しやすく、広告の品質が低下します。
一人で運用しているケースでは、思い込みや慣れによる見落としが発生しやすくなります。
属人化は組織にとって大きなリスクであり、計画的な対策が必要です。複数名での運用体制構築、ドキュメント化の徹底、定期的なクロスチェックなどにより、属人化を防ぐことができます。
属人化対策は継続的な取り組みが必要であり、一時的な対応では根本的な解決にならないことを認識しておきましょう。
政策・媒体アップデートに対応できず陳腐化
Google広告などの新機能追加や仕様変更に気づかず、旧来の手法に固執して機会損失を招くことがあります。競合が導入している最新の広告手法に追随できず、成果で後れを取ることも少なくありません。
レスポンシブ検索広告への移行、P-Maxの活用、新しいオーディエンスターゲティングなど、常に進化する機能への対応が求められるでしょう。
また、クッキー規制など環境変化に対応できず、従来の計測方法が使えなくなることもあります。サードパーティクッキーの廃止により、リマーケティングやコンバージョン計測の手法を見直す必要も生じています。
このように、変化への対応が遅れると、競合との差が開き続け、挽回が困難になります。業界ニュースや媒体の公式発表を定期的にチェックし、新機能のテストや導入を積極的に行いましょう。
専門業者の内製化サポートを活用しよう

内製化支援サービスを提供する専門業者に相談し、スムーズな内製化移行を図ることが成功への近道となります。コンサルタントの伴走支援を受けることで、自社チームのスキル向上とノウハウ蓄積を効率的に進められるでしょう。
内製化の初期段階では、代理店運用と内製を併用しつつ専門家の助言を得ることで、内製化の失敗リスクを大幅に抑えられます。
リスティング広告の内製化を支援する会社では、ツール導入や運用フロー構築など実務面でもサポートしてくれます。アカウント構造の最適化、自動入札の設定支援、レポーティング体制の構築など、技術的な側面から組織体制まで幅広い支援が受けられるでしょう。
トゥモローマーケティング株式会社では、伴走支援という形で成果を出す運用代行を提供しています。さらに内製化を目的とした企業様向けには、隔週MTGを通じて運用ノウハウのインプットと実践的な支援を実施します。
- 伴走型の運用代行:単なる作業代行ではなく、お客様と一緒に成果を追求
- 隔週MTGでのノウハウ共有:実践的な運用知識を段階的に移転
- 戦略立案から日々の運用まで:幅広い領域でのサポート
- 自走できるまでの継続支援:社内チームが独立運用できるまで伴走
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専門業者の支援を受ける最大のメリットは、過去の成功事例や失敗パターンを学べることです。自社だけでは気づけない落とし穴や、効果的な改善アプローチを知ることができるでしょう。